CADデータの受け渡し

はじめに

CCTが提供している調達DX(調達DX ~見積もり自動化技術~ | CCT)では、AIや3D CADのデータを使用して製造業の見積りの自動化技術を提供しています。
今回は、設計部門や製造部門などの部署間の連携に必要となるCADデータの受け渡しを取り上げます。

CADデータのフォーマット

CADデータにはデベロッパーやソフトウェアごとの専用フォーマットやデータ交換用に定められたフォーマットなど、様々なフォーマットが存在します。
主なフォーマットとしては以下のようなものがあります。

CAD 拡張子
CATIA V5 (Wikipedia) .CATPart / .CATProduct / .CATDrawing
Creo Parametric (Wikipedia) .prt / .asm / .drw
NX (Wikipedia) .prt
SolidWorks (Wikipedia) .sldprt / .sldasm
Autodesk Inventor (Wikipedia) .ipt / .iam / .idw
Solid Edge (Wikipedia) .par / .pwd
iCAD (Wikipedia) .icd
STEP (Standard for the Exchange of Product model data) (Wikipedia) .step / .stp
IGES (Initial Graphics Exchange Specification) (Wikipedia) .iges / .igs
JT (Jupiter Tessellation) (Wikipedia) .jt

異なるCADへのデータ受け渡し

設計から製造まで同じCADフォーマットを使用する場合もありますが、部署や会社が異なる場合は、様々なCADフォーマットに変換してデータを受け渡しすることが多いです。
異なるCADフォーマットでデータをやり取りする場合は主に以下の3パターンがあります。
出力するCADをA、受け取るCADをBとします。

Aのフォーマットで受け渡し

AのCADフォーマットで出力し、Bで読み込み時に変換します。
BはAのCADフォーマットを正しく読み込める必要があります。
受け渡しに問題があった場合には、Bの変換や設定の問題が考えられます。

Bのフォーマットで受け渡し

AはBのCADフォーマットに変換して出力し、Bで読み込みます。
AはBのCADフォーマットに正しく変換する必要があります。
受け渡しに問題があった場合には、Aの変換や設定の問題が考えられます。

中間フォーマットで受け渡し

CADのデータ交換用にISOが策定したSTEP(STandard for the Exchange of Product model data)形式やSiemens PLM Software社が推進しISOに承認されたJT形式を用いて受け渡しをします。
Aは中間フォーマットに変換して出力し、Bは中間フォーマットを変換して読み込みます。
A、B共に中間フォーマットを正しく扱える必要があります。
受け渡しに問題があった場合には、両方の変換や設定の問題が考えられます。

CADデータの受け渡しで起こる問題

日本語と英語の翻訳のようにCADのデータ変換でも変換元の意図を完全に再現できない場合があります。
データの変換に問題があった場合、以下のような問題が発生します。

形状の欠落、変形

  • 形状を正確に変換できずに、形状や面の欠落・変形が起こる
  • 微小な形状や段差が潰れる
  • 情報の欠落

  • CADのデータに含まれる形状以外の情報(寸法情報、公差情報、履歴、その他)の欠落が起こる
  • 変換ライブラリが対応していない情報や、変換先のCADフォーマットが対応していない情報が変換時に失われる
  • CADの精度

  • 変換元と変換先のCADの精度が異なる場合、設計で意図した精度が製造時に出ない
  • CADのデータの受け渡し時には双方の精度を合わせる必要がある
  • CCT技術ブログ:3D CADデータと誤差
  • まとめ

    設計から製造やその他の部署にデータを連携する場合には、問題があった場合の確認や対処方法を決めておくことで問題を早期に発見し対応することができます。
    CCTでは3Dシステム間での連携を円滑にするために、設計時のガイドラインやデータ品質の確認方法などを決めています。
    CCTの取り組みが2021年版ものづくり白書に掲載されました
    言語やソフトウェアの互換性問題が世界で解決される頃にはCADのデータ形式の問題も解決されそうですが、歴史を見るともう少し先の話になりそうです。

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