新卒エンジニアへ送る「これ押さえておこう」リスト: Vol.1 コミュニケーション編

はじめに

こんにちは、エンジニアのせーさんです。

新卒社員の育成カリキュラム策定などに助力程度に関わっており本年度の新卒採用で3年目になります。
またここ2年は新卒や新卒2年目の方々と作業をすることが多く育成についても試行錯誤してきました。

今回はそんな体験の中で得た「ここを押さえておくといい仕事ができるよ!」という内容を伝えられたらと思います。
全3回を予定しており「新卒エンジニアに送る」と書きましたが Vol.1, Vol.2 はエンジニアに限らず有用じゃないかと思います。

  • Vol.1 コミュニケーション編 (本記事)
  • Vol.2 ロジカルシンキング編
  • Vol.3 技術スキル基本編

ということで、今回は「技術Blog」の記事ながら少し技術から逸れてますがよろしくお願いします。

コミュニケーション編

組織に所属するといろんな人と共同で作業を進めていく事になります。
共同作業をする上で「自分の意思や状況を相手に正しく伝える」こと、つまり情報共有はとても大切です。

特にコロナ禍の影響でリモートワーク率が増加している今の情勢下において、通話やメール、チャットでの正確な情報共有は是非とも押さえておきたいポイントです。

1. 基本

意見や報告したとき、上司や同僚にこう言われてしまう人が一定数います。

結局、○○さんが何を伝えたいのかが分からないんだけど…。

こんなときどうすれば伝わるのか、コミュニケーションの基本をしっかり押さえましょう!
報告、質問、相談などあらゆるコミュニケーションの前提になります。

1-1. まずは結論から話そう

数学の証明問題で回答するとき、証明過程を記述してから最後に「∴(ゆえに) AがxxxのときBもxxxであると言える。」と書いてきたと思います。
そのためか特に理系出身の方にこの傾向があるのですが、業務上のコミュニケーションでも証明問題の回答と同じ「∴(ゆえに)パターン」を使っちゃうんです。

実は「∴(ゆえに)パターン」は聞く方からすると「何を聞かされているか最後まで聞かないと分からない」ため、聞き手が理解するために必要なコストが高い論述技法なのです。

ではどうしたらいいかと言うと「∵(なぜならば)パターン」で伝えましょう!
つまり「AがxxxのときBもxxxであると言える。∵(なぜならば) …理由…」というだけです。簡単ですね。

話す側の脳内にはもちろん「言いたいこと」が頭にありますが、聞く側の脳内にはありません。
「∵(なぜならば)」パターンを使うことで聞く側に「これから何について話す」を先に伝えましょう。

実例:

すみません、寝坊しました。(∴)15分ほど出社が遅れます。
   ↓↓↓
15分ほど出社が遅れます。(∵)寝坊しました。申し訳ありません

1-2. 意味が曖昧な言葉は使わないようにしよう

IT業界でよく使う用語として、例えば「基本設計」とか「詳細設計」という用語があります。
私はこれらの用語を無造作に使うが好きではありません。なぜならプロジェクトや、場合によっては開発フェーズ、はたまた担当者によって用語が意味する内容が変わる事があるからです。

そのため「基本設計が完了しました。」という報告内容を正しく理解するためには、

  • 該当プロジェクトにおける「基本設計」に何が含まれているか?
  • 同様に「完了」状態とするために終わらせる必要がある作業とそれらの完了条件は何か?

という用語の定義を正しく行う必要があります。
こういった用語や言葉の定義、その他、会話の理解に必要となる前提情報を「コンテクスト (コンテキスト)」といいます。

日本語は特に「ハイコンテクスト言語」と呼ばれ、内容を理解するのに「空気を読む」必要があるんですよね。
家族や友達同士の会話であれば共感力の高いコミュニケーションとして成立しますし、敢えて曖昧に伝えるような恋愛テクニックとかもあるかもしれません。(よくわかりません!)

ただし、業務上のコミュニケーションでは「ハイコンテクスト」な会話は「内容が湾曲して伝わる」というリスクを抱えています。
そのため「相手に正しく伝わる用語や言葉を選んで使う。」こと、できるだけ「ローコンテクスト」な会話を意識しましょう。

実例:

Adoを知らない上司との世間話中、冗談で「うっせぇわ!」と言ったら怒られた。

1-3. 背景や前提を共有してから本題を伝えよう

前項で「ローコンテクストな会話を意識しましょう。」とは話しましたが、とはいえ各業界内で専門用語を使わないといけない場合もありますし、IT業界は専門用語が多い業種です。
また、どうしてもプロジェクト特有の用語というのもは出てきますし、全てを「ローコンテクスト」にしたらコミュニケーションに必要な時間が増えてしまいます。

そういう場合、本題に入る前に「背景」や「前提」として聞く側がどこまで理解しているかの確認を丁寧に行いましょう。
「どこまで理解しているか。」「何を実施したか。」など、自分だけが知っている情報も先に共有した方が良いです。

ちなみに本項は「新卒に対して話す先輩社員」の方がより意識する必要がある内容だったりします。
逆に新卒の皆さんは「先輩の話に出てくる言葉が分からない」場合にはちゃんと質問しましょう!

質問の仕方は「質問, 相談」へどうぞ。

2. 報告

実業務を進めていくといろんな場で「報告」を求められることが多いと思います。
例えば「日報」や「週報」を投稿する業務ルールを課している会社や部署もあれば、会議体などの場でプレゼンテーション的に報告することもあると思います。

報告する際はコミュニケーションの「基本」を押さえた上で、更に次のことも意識しましょう。

2-1. 相手の立場になって報告しよう

私は以前「報告」を比較的軽視しがちでした。「エンジニアならコードや完成したプロダクトで勝負!」という考え方だったんですよね。
もちろんエンジニアとしてコードやプロダクトに責任、プライドを持つことは大切です。

ただし今は「報告こそが一番大切なアウトプット」であると考えています。
それは「報告というコミュニケーションが何故必要か?」を理解したからです。

例えば、報告相手がプロジェクトマネージャー(以降 PM)だった場合、一般的にPMは「リスクの早期発見と対処」に必要な情報を把握したいはずです。
その背景が分かっていればPMが欲しい内容を優先的に報告することができるようになります。

もちろん経験が浅いうちは「PMが報告して欲しい情報」を自分だけで判断するのは難しいと思います。
そんなときは報告する相手が報告内容として何を重要視しているのか聞いてみましょう!

また報告用にテンプレートなどが用意されているプロジェクトもあると思います。
報告相手を意識することにより、ただテンプレートを埋めるよりも良い報告ができるようになるはずです。

2-2. マイナスな報告ほど早くしよう

人は失敗する生き物なので、後ろ向きな報告をしなければならない場面も出てきます。

  • 与えられた作業時間より実装時間が大幅に超えそう。
  • できると言ってしまったけど、やっぱり無理かもしれない。
  • 以前書いたコードにバグがあるのを見つけてしまった。

私もこれまでたくさんのミスをしてきましたので、思い出すだけで気分が憂鬱になることもあります。

ただ、そういった場面でこそ 「早めに報告する」 ことがとても大切です!!

通常の上司やPMであれば、メンバーがある程度の失敗をすることを想定しています。
重要なのは「手遅れにならないうちに手を打つ」ことなので勇気を持って可能な限り早く報告しましょう!

むしろ報告が遅れることにより「対処の手を打てずに影響やトラブルが拡大」してしまいます。

2-3. 事実と私見を分けよう

上司は配下メンバーから上がる報告内容や、その他の情報、条件に基づいて様々な判断をするのが仕事の1つです。
そして何かを判断する際に大切な要素の1つとして「事実に基づいていること」があります。

報告する内容に事実と私見(感想や見解)が混在していると、事実部分を読み解くのがとても難しくなります。
報告する際には事実と私見を明確に分けるよう工夫してください。

ちなみに報告内容にあなたの感想や見解を含めることを悪いわけではありません。
あなたがある事柄に対してどう捉え、どう考えているのか?という内容も、時に重要な情報となります。

大切なのは報告する際に分けることです。

3. 質問, 相談

分からないことを誰かに聞くことは人によってはプライドが邪魔したりするものです。
私見ではありますが、特に高学歴な人ほど「自分でなんとかしなければ」と考えてしまう傾向があるように感じます。

でも「質問」や「相談」は知識を得る手段としてとてもコスパがいい方法なんです。
優秀な人材ほどいろんなコネを利用して新しい知識や考え方をその道の先駆者から仕入れるのが上手です。

「賢者は歴史から学び、愚者は経験からしか学ばない」 by オットー・ビスマルク

もちろん、仕入れた情報は自分なりに整理、解釈してから活用しましょう!

3-1. 質問の仕方, 質問の質について知っておこう

Qiitaに 「質問は恥ではないし役に立つ」 というタイトルで、毎年新卒に見せている秀逸な記事があります。
※ 弊社方針で直接リンクできないので検索してください。著者の方には大変感謝しております。

私なりに解釈してまとめるとこんな感じです。

  • 求める答えを引き出すための質問を用意する
    • 質問の前提知識がないと感じたら、先にそちらを質問する
  • 安易に「答え」のみを求めず「答え」に至るプロセスを聞く
  • 質問する相手に感謝する
    • 解決したら結果を共有する
    • 心でなく行動で感謝を表す

箇条書きにすると割と「当たり前」な内容にも見えますが、その「当たり前」を理解して身に付ける事が大切だと思います。

3-2. 質問の心理的ハードルを下げよう

上記の「質問の仕方」などを見てしまうと、質問することに躊躇してしまう方もいると思います。

質問って難しい、、、変な質問して相手の気を悪くしてしまわないかな…

わかる、わかるよその気持ち。(ひとりごと)

でも失敗すればいいんです。そして学び、次に生かしていきましょう。
新卒や若手に許されている専売特許「失敗しても良い」を最大限使いましょう。

ちなみに私は「いい感じに質問してくる人」ほど「あ、この人は優秀だな」と感じます。

3-3. 質問するタイミングを押さえよう

最後にいつ質問するか?ですが、私は「悩んだらすぐに質問すればいい」と思います。
というのも「悩んでる時間(わからないな?とか、聞いていいかな?ダメかな?)」がもったいないからです。

いまはチャットなどで気軽に非同期コミュニケーションできる環境の方も多いと思うので、

@せーさん 質問です。

実装で使っているxxxについてよく分からないためググったらyyyと書いてありました。
私はzzzだと解釈したのですが認識あってますでしょうか?

急ぎではないですが、明日中くらいに返信いただけたら嬉しいです!

みたいな内容ではじめは十分だと思います。

なお、敬語、丁寧語などのチョイスはTPOに合わせて各々調整してください。

おわりに

今回は「コミュニケーション編」と題して、新卒の方に意識して欲しい内容をまとめてみました。
私はこの分野の専門家でなく、網羅的、包括的な内容ではないかもしれませんが、参考になれば幸いです。

ただ仕事ができる人(効率良くアウトプットを出せる人)ほど、コミュニケーションの基礎がしっかりしているのではないでしょうか?
そういった人の仕事の仕方を真似して、何故その人が「仕事ができる」のかを考えるのも良いと思います。

ちなみに、偉そうなことを言っておきながら私も「常に全部できているか?」と聞かれたら自信がないです…。
私も新卒メンバーと共に精進したい所存でございます。

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