新卒の面接で逆質問を実施するときの恥ずかしさ
こんにちは!
採用担当の池田です。
若者の早期退職について、皆さんはどうお考えですか?
若手の離職については昔から問題視されていることですが、中途採用に従事する身からしても、入社して1,2年の方の応募は年々増えている印象を受けています。
ただ、私自身は「石の上にも三年」という考え方にはあまり賛同できないので、違和感を抱えたまま嫌な仕事に従事するぐらいなら、違う企業に目を向けた方が良いと思っています。
まだまだ青二才の自分が言うのは大変おこがましいですが、やっぱり嫌な仕事ほど無駄なことは無いと思うんですよね。「この仕事が大好き!」とまでならなくても、何かしら自分の中の意義がない仕事であれば、時間の無駄であり、その分野での成長は相当難しいと思います。
転職が“逃げる”ことではなく、ポジティブに捉えられる社会になると、社会人生活の幸福度も上がるのかなと思っている、今日この頃です。
さて、今回は私が面接を実施させて頂いている中での違和感を皆さんに共有したいと思います。
新卒のときに一番嫌だった質問が“逆質問”
私が新卒時、面接で最も苦労していたのが“逆質問”でした。
逆質問とは、応募者側から質問することを指し、通常は面接官から質問するので、その“逆”という意味で逆質問と言われるようになっています。
なぜ嫌だったのかと言うと、単純に意味がないと思っていたからです。
予定調和感満載だったのが嫌だったんです(笑)
だって、面接という選考の場において、質問出来ることなんて限られているでしょ(笑)、と。
そのため、私は面接官という立場で「何か質問ありますか」と聞くのは非常に恥ずかしく抵抗があるんですよね。
今の就活は選考に至るまでに様々な説明会イベントがToo muchと言わざるを得ないほど開催されています。
- 企業説明会(女性限定セミナー、キャリアセミナー、OBOG座談会等、名称を変えた多種多様な説明会が開催されている)
- インターンシップ向け説明会(インターンシップ集客のために実施する説明会)
- インターンシップ
- 学内企業説明会(大学内で実施される説明会)
- 合同企業説明会(東京ビックサイト等で実施されている)
そのため、選考に至るまでにはありとあらゆる質問を既に社員の方にしているのです。
にも関わらず、選考の場で「何か質問したいことはありますか?」という謎の逆質問はナンセンスとしか言いようがないです、と思ってしまうのは私だけでしょうか。
ちなみに少し話が逸れますが、就活生の逆質問あるあるを私の聞いた限りで集めてみました。
- 事業内容について質問したら、「それって説明会で言ってたよね?」と攻撃的に返された。
- 会社の方向性の細かい部分について聞いたら、「そんなのはこの短い時間で答えられない」と言われた。
- 聞くことが無いから、仕方なく面接官に「活躍している社員で共通しているものは何ですか?」と聞いたら、「万単位の社員がいるから、そんなのは一概に言えないでしょ」と言われた
同じ人事として、こういうおじさんおばさん面接官は許せないですね。面接官という立場を利用して権力を振りかざすような方を面接官に任命している企業は、早めに変えないと企業イメージを大きく損ないかねませんよ。
中途の逆質問はOK
一方、中途の面接時の逆質問は当然のごとく必要だと思います。というのも、今の中途採用のスタンダードなフローに、会社説明会がほとんどないからです。
企業のホームページからの直接応募や転職サイトの媒体の場合は、WEB上での企業研究がメインになるでしょう。また転職エージェントの場合は、エージェントが知っているフワッとした企業情報しか連携してもらえないでしょう(笑)
以上から中途の面接時は、企業側としてもたっぷりと質問の時間を取るべきでしょうし、応募者の方も積極的に質問する姿勢がごく自然のことだと思います。
そのため、中途の面接時に一切質問がない応募者の方は、さすがに面接官から見ると、
弊社に興味ないんだろうな
と思われるので、気を付けた方が良いでしょう。
ちなみに、、、転職を検討されている方は、「質問力」は評価項目として非常に重要だと考えている企業は多いので、要注意です。
例えば、弊社であればホームページを見て業務内容を理解することは相当難しいと思います。というのも、プロジェクトの契約上、具体的案件を公開できないために、広く浅く載せるしかないためです。
さらに、toB向けのビジネスモデルなので、ユーザーとして知ることも難しいですし、上場前なので公開されている情報も圧倒的に少ない。
そのため、多くの方にとっては弊社について知らないことが普通なので、初歩的な質問でも積極的にして頂ければと思っています。
ただ、現実的にはあまり質問しない方も一定数いるんですよね。。。というより、最低限弊社について調べていないなと思えるオーラがプンプン伝わる方が意外にも多いです(笑)
弊社が今まで中途で採用してきた方を振り返ると、質問時間で細かく質問していた方が多い印象があります。質疑応答だけで1時間以上掛かった方もいましたが、弊社としてはそれはごく自然なことだと考えております。
公開されている情報が中途市場ではまだまだ少ないので、今後転職を考えている方は、事前に最低限調べて、不明な点を面接で解消する姿勢で臨むことを強くお勧めします。
新卒の逆質問はどうすべきなのか
少し中途に話が逸れてしまいましたが、新卒の方は逆質問をどのように乗り切れば良いのでしょうか。
それを紐解く上で、逆質問の企業側の意図を整理しておきましょう。私が認識している限りだと、下記の4種類です。
- コミュニケーション能力を確かめる(質問力)
- 志望意欲の確認
- 会社の魅力付け
- ポーズ(予定調和)
1.コミュニケーション能力を確かめるについて(質問力)
質問力が高い方こそ優秀な方が多いという考え方が前提ですね。ただ上述したように、新卒の場合は“就活において優秀な方”ほど事前に企業について調べているので、敢えて面接という場で質疑応答の時間を設ける理由は必ずしもないかもしれません。
2.志望意欲の確認について
「弊社に本当に興味があるなら、質問の1つや2つはあるだろうから、質問が無いのはおかしい。」という考え方が前提ですね。
恋愛で例えるなら、付き合って初めてのデートなのに一方的に自分の話ばかりして、質問しないのはNGと言ったところでしょうか(笑)
ただ、緊張しているからこそ質問できないことも多いでしょうし、付き合う前の友人関係時代から色々彼女については聞いていた(就活においては会社説明会に相当します)ので、だからこそ今日のデートでは自分のことを伝える目的で参加していたかもしれません。
そのため、逆質問が無い=志望意欲が低い、というのは一概に言えないと個人的には考えています。
3.会社の魅力付けについて
こちらは非常に良く理解できるのですが、企業は面接という場を優秀な方を口説く場として捉えていることがほとんどです。
そのため、企業側は就活生に鋭い質問を期待しているわけではなく、あくまで魅力付けの方向性の切り口を知りたいだけです。
働き方なのか評価基準なのか、それともキャリアマップについてなのか、ざっくばらんとした質問を企業側が聞くことで、それに即した魅力付けを話していきます。
もし逆質問時に、面接官から非常に丁寧かつ熱心に回答された場合は、通過フラグかもしれません(笑)
4.予定調和について
深い意図はなく、面接の流れとして、最後に質疑応答の時間を設けると考えている場合です。私自身が面接官として担当する際は、逆質問が大嫌いなので省こうと思うものの、質疑応答の時間を設けないことによるリスクもあるんですよね。
例えば、
- 本当に聞きたいことがあったのに、質疑応答の時間がなく、誠意が足りない
- 面接で一方的に質問されるばかりで、あの企業は上から目線
などなど、ネットに書かれてしまうんですよ(笑)
そのような背景もあり、とりあえず「何か質問ありますか」とお聞きするケースは多いと思います。
逆質問で「特にありません」は不合格なのか!?
ここで多くの方が気になっているであろうポイントの
特にありません
と逆質問時に答えた場合、どうなるのかについてお伝えしましょう。
まず結論から伝えると、合否に大きな影響はないと私は考えています。理由としては、逆質問は面接の終盤にあることが多く、その局面では既に合否が決まっていることが多いためです。
もちろん試合終了直前の、一発逆転満塁ホームランは可能性としてはありますが、私の経験範囲では、逆質問“だけ”大きな爪痕を残した方はほとんど記憶にありませんね。
また中途の方で特に質問がない場合は、志望意欲の点で疑う部分もありますが、優秀な方であれば、面接終盤の逆質問までに相当な評価をされているでしょうから、特に質問が無いからと言って合否に著しい影響は与えることは考えにくいです。
ただし、例外として、逆質問メインの面接の際はぜひ空気を読んで下さい(笑)
というのも新卒の面接であるのですが、面接そのものが逆質問だけというケースは結構あります。
最初から最後までずっと逆質問なんです。
企業側の意図としては、コミュニケーション能力および志望意欲の確認のためにしているのですが、私自身はこの形式は大反対です。
というのも、事前に逆質問だけの選考という情報を知っているか否かで大きく結果に違いが出ると考えているからです。
例えば某有名企業は、2次面接時に逆質問だけの面接を60分実施します。普通に考えて面接の場で60分質問されるなんて難しいですよね?
ただここの企業の面接情報は一部の学生に筒抜けなので、選考を受ける学生の中には事前に逆質問がメインの面接であることは知られています。そのため、事前に準備するようにアドバイスをしていました。
※準備方法については別途お伝えします
しかし知らない学生もいるので、何も知らずに参加した学生は結構びっくりしますよね。面接開始直後に、
何か質問ありますか?
が無限ループのように続くんですから(笑)
このような就活意識高い層に有利に働く内容は個人的には好きにならないのですが、内定のためには致し方ないかもしれないので、選考情報は事前に調べることをお勧めします。
逆質問をされたらどうすべきなのか
逆質問は合否に大きく影響しない
と言ったものの、もちろんしないよりはした方が良いですし、上述したように面接全てが逆質問のケースもあるので、最低限の対策はした方が良いですよね。
※ここでは新卒の方に絞ってお伝えしていきます。
私は逆質問に対しては、下記のようにアドバイスをしていました。
- 面接官の主観が入る質問をすること
- 面接で自分が質問された内容を聞くこと
- 面接時には、「それでは●つほど、質問を宜しいでしょうか」とお断りを入れること
面接官の主観が入る質問をすることについて
具体的には下記になります。
〇:●●さんはこの会社に入って良かった点、また会社に対して改善すべき点は何だと考えていますか
×:この会社の魅力、また改善点は何ですか
就活経験者なら理解頂けると思うのですが、質問に対してぶっきらぼうに答える面接官って非常に多いんですよね。
冒頭でお伝えした部分を重複しますが、下記のようにやり取りで、イラっとした就活生は多いのではないでしょうか?
- 質問:現在活躍されている社員の共通点は何でしょうか?
- そんなの人によって違う
- 質問:説明会時に、3年後に●●計画を聞いたのですが、業界最大手の▲▲社と差別化するために具体的に何をされるのかについて教えて頂けないでしょうか?
- 機密情報だから、この場で答えられない
- 質問:女性の育休や産休の取得状況について細かく教えて下さい
- それは部署やプロジェクト次第だね
ただでさえ緊張している就活生に対して、相手の意図をくみ取ろうとしない姿勢はいかがなものかと思います。
とはいえ、就活生は選考の場においては文句を言うこともできないので、これを回避するためには面接官が逃げられない質問が無難です。
一般論を聞きたいのではなく、面接官である“あなた”の意見を知りたいんですという質問であれば、しっかり答えてくれることでしょう。
面接で自分が質問された内容を聞くことについて
例えば、
- 人生で最も辛いときは何でしたか、またそれをどう乗り越えましたか
- 会社を選ぶ基準は何ですか
- 合わない人とはどのように対応されますか
などを面接官から聞かれた場合、それをそのまま逆質問で面接官に聞けばいいんです。
上記を少し逆質問用にカスタマイズすると、
- 仕事で最も辛かったときは何でしたか、またそれをどう乗り越えましたか
- 新卒時の会社を選ぶ基準は何でしたか?また今新卒に戻ったら今の会社を選びますか、それとも別の会社を選びますか
- 社内で合わない人にどのように対応されますか
になり、全く違和感なく質問できることでしょう。
事前に用意していた逆質問を忘れてしまった場合に有効なので、ぜひお試し下さい。
面接時には、「それでは●つほど、質問を宜しいでしょうか」とお断りを入れることについて
これは面接官の立場としての私からのお願いでもあり、就活生にとっても楽になる方法だと思うのですが、事前にいくつ質問があるかを最初に伝えると、お互いに聞きやすいですよね。
※プレゼンでも、最初に伝えたい項目数を伝えた方が、伝わりやすいのと同じ原理です
これをやらない場合、逆質問は多くなければいけないと思い込んでいる方の対応をすると結構辛いんです(笑)絶対に質問したいと思っていないことをダラダラ質問されるのは拷問ですよ(笑)
さて今回は逆質問についてお伝えしましたが、就活生はもちろん、面接官の方にもぜひ参考になればと思っております。
20卒の就活も既に始まっているようですが、あまり早く準備し過ぎても後半にバテてしまうので、ほどほどにやりつつ学生生活にしかできないことを満喫して下さいね。