エントリーシートの書き方(志望動機編)
こんにちは!
採用担当の池田です。
今回はエントリーシートの王道の3種類目である「志望動機」の書き方についてお伝えしたいと思います。
会社のことなんて理解できるわけがない
志望動機って就活生から見るのと、社会人から見るのでは全く違うものなんですよね。就活生から見た志望動機は、
- 会社について何でも知っていることが大前提
- 他の就活生が知らない㊙情報をしっかり把握しておくべき
- 競合他社との違いは明確に理解しておかないといけない
などなど。
一方、入社した若手社員からすると、
- 会社のことなんて1%も知らない
- 末端の社員に入ってくる情報なんて、大したことない
- 競合他社との違いが分かれば、仕事で苦労しない
等の意見が聞こえてきそうですね。
なぜこのような乖離が生まれてしまうのかは、残念ながら就活を終えたばかりの先輩内定者が原因の一端を多く担っていると思います。
ここで就活を終えたばかりの先輩とこれから就活を控える就活生の、良くある対話を紹介しましょう。
先輩は●●会社に内定したんですね!すごいですね。これから就活なんですけど、何かやっておくべきこととかありますか?
就活なんて余裕だよ!普通にやれば決まるでしょー。敢えてアドバイスをすると、企業研究だけはしっかりやっていたかな。
具体的にどんなことをやっていたんですか?
説明会はもちろん、インターンとかでも分からないところはたくさん質問してたかな。あとはその会社が出している書籍も読んでいたし、過去のCM等も全てyoutubeで見ていたよ。その中で競合他社との違いはしっかり言えるようにして、「御社じゃないといけない」ことを強く言えたことが、内定に繋がったかな。
ここで注目してほしいのが、「●●をしたから内定した」という根拠のないアドバイス。愚の骨頂とはこういうことを指すんだなと思うぐらい、呆れる発言が全国中で聞かれることでしょう。
冷静に考えて、面接は判断される側であるのに、なぜ判断した側のことが理解できるのでしょうか。面接官の判断は、就活生が思っている以上に曖昧なものなので、「●●を言っていたから内定」なんてことは絶対にあり得ませんよ。
志望動機作成にかけている時間、知っていますか?
今の就活は必要以上に時間をかけないと内定が取れなくなっているのも事実なので、学業に専念できない理由は良く理解できます。ただ常々思うことは、企業側が一切志望動機およびそれに関することは聞かなくなれば、就活生の労力は圧倒的に減ることでしょう。
就活生がやるべきタスクを重い順に整理したのが下記になります。
- 企業研究および志望動機作成
- エントリーシート作成
- 自己分析(自身の経験から何を伝えるのかを吟味する作業を指す)
ここで仮に全ての企業が、「志望動機およびそれに類する質問は一切しない」となれば、
【点数稼ぎのための意味不明な説明会やOB訪問、インターンに行かなくて良い】となりますよね。(点数稼ぎという表現は気になるかもしれませんが、今後の記事で詳細について触れる予定です)
ここで以前実施したフェルミ推定で、どれだけの時間を企業研究に費やしているか推定してみましょう。
①説明会
- 就活生1人平均30社行くと仮定
- 1企業当たりの平均説明会時間を2時間と仮定
- 移動時間および身支度時間を1時間30分と仮定
30社×(2時間+1時間30分)=105時間
②インターンシップ
- 就活生1人平均3社行くと仮定
- 1企業当たりの平均インターン時間を3時間と仮定
- 移動時間および身支度時間を1時間30分と仮定
3社×(3時間+1時間30分)=13.5時間
③OBOG訪問
- 就活生1人平均3名実施と仮定
- 1企業当たりの平均OBOG訪問時間を1時間と仮定
- 移動時間および身支度時間を1時間30分と仮定
3名×(1時間+1時間30分)=7.5時間
④「志望動機」のエントリーシート作成
- 就活生1人平均30社エントリーすると仮定
- 1企業当たりの平均エントリーシート作成時間を1時間と仮定
30社×1時間=30時間
⑤ネットや書籍、その他ツールで調べる
- 就活生1人平均30社エントリーすると仮定
- 1企業当たりの平均調査時間を0.5時間と仮定
30社×0.5時間=15時間
合計:171時間(約7日)
※実際には志望動機を聞かないとなっても、自分との適性等のためにある程度の時間はかけることになりますが・・・
この数字を見て、皆さんはどう思いますか?実は社会人であれば馴染み深い数字になりまして、1か月の総労働時間になるんですね。
つまり、サラリーマンが1か月普通に働く時間を、就活生の皆さんは「志望動機」という雲を掴むような作業に充てているのです。
これを知ったサラリーマンの方は、おそらく「そんなことをしている暇があるなら、もっと自分の熱中できることに時間を注げ!」と力強くアドバイスしてくれることでしょう。
就活生で知り得る企業情報は、企業全体の1%以下に過ぎない
就活生にはっきり理解してほしいことは、就活生の立場で企業について知れることなんて、たかが知れているということ。就活に成功した内定者の方で「俺は業界や企業のことはかなり理解している」的なことを言っている方がいますが、社会人から見れば非常に残念な奴と認識されるのがオチでしょう。
イメージしてほしいですが、皆さんは高校生の頃に大学についてどれぐらい理解していましたか?もっと言えば、現在通っている大学について、通われている目線から見てどれほど知っていますか?
高校生から見ると、
- 海外留学に強い
- 就活支援が充実している
- カリキュラムが豊富
という非常に一面的な情報を信じて入学されたと思いますが、入学後にそれらの精度について詳しく知ることなんてほとんど不可能に近いでしょう。また自分が通っている学部以外のこともほとんど知らないことでしょう。
入社していない就活生はもちろん、入社した方であってもそもそも企業のことを全て理解することは不可能なので、志望動機だからといって変に気負うことがないようにして下さいね。
なぜ志望動機が問われるのか
就活生が企業について知り得る情報がほとんど少ないことは企業側も重々承知ですが、それでも志望動機を聞くのはなぜだと思いますか?
ずばり、内定辞退を疑っているからなんですよね。
私は100名規模のベンチャー企業の人事ですが、新卒の面接を実施する際は、「この方が入社すると、どんなインパクトがあるだろうか」「入社して上手くやっていけるだろうか」「この方の望むキャリアを弊社で実現できるだろうか」等について想像しながら質問をさせて頂いています。
しかし大企業となれば、そのようなことを考える意味がないほど規模が大き過ぎるので、人事側の目先の利益である「目標内定数に達すること」を考えながら仕事をしている方は多いことでしょう。そうなると、他の質問よりも「志望動機」の深さを問うことが有効になるんですよね。大手人事の頭の中は、
- これだけ弊社について調べているってことは、余程入社意欲が高いんだろう
- 説明会やインターンシップ、OBOG訪問もしっかり実施しているので、間違いなく弊社が第一志望なんだろう
- 弊社主催のビジネス向けイベントに参加してくれたということは、余程弊社に興味があるんだろう
などで埋め尽くされ、「入社承諾の確度が高い学生●●名」と自信を持って上司に報告できることに安心していることでしょう。
就活生から見た志望動機を準備するために何が必要なのか
こちらはこれだけで1つの記事になってしまう内容なので、また別の機会で詳しく紹介させて頂きますね。
志望動機の書き方
それではエントリーシートに書くに当たっての書き方をお伝えします。構成は下記になります。
- ① 夢・目標
- ② その夢を持つことになったきっかけ
- ③ その中でなぜ貴社か
例えば、サッカー日本代表の本田圭佑選手を例に見てみましょう。本田選手は、現在メキシコの「パチューカ」というチームに所属していますが、「パチューカ」の志望理由を書く場合は、下記のような構成がベストですね。(あくまで筆者が独断で考えたものなので、事実とは異なる可能性がある旨、ご了承下さい)
①夢・目標 | サッカーのワールドカップで優勝し、多くの子供たちに夢を持つ大切さを伝えたい、その思いでパチューカを志望します。 |
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②その夢を持つことになったきっかけ | 私は小学校の時にワールドカップをテレビで観戦し、レベルの高さに驚いたのはもちろん、国を挙げて応援したり、優勝することでの影響力の大きさを痛感し、いつかあの舞台で優勝したいと思うようになりました。またサッカーを通じて、大きな夢を抱き、それに向かって日々努力することで成長を実感してきた私にとって、今後の未来を担う子供たちにも、夢を持つ大切さを教えたいと思うようになりました。 |
その中でなぜ貴社か | その中でもパチューカは、クラブワールドカップにも出場するほどレベルが高いので、自分がより成長できることに魅力を感じています。また、サッカー教育にも力を入れており、「サッカーを通じて、人として大きく成長する」という理念が私の思いと合致していることから、パチューカであれば私の思いを実現できると考え、志望します。 |
これを見てイメージ出来たでしょうか?下記にそれぞれの段落の詳細を記入したので、併せてご確認下さい。
①夢・目標について
こちらは将来実現したいことを明記しましょう。その企業でなければいけないことではなく、その業界であれば実現可能なことであればOKです。下記に業界ごとの例をいくつか載せましたので、参照下さい。
金融業界 | 無くてはならないお金を通じて、企業活動や人の生活を支えたい |
---|---|
IT業界 | 日々進歩する技術を通じて、世の中を便利にしたい |
インフラ業界 | 社会の根本を支え、人々の生活を支えたい |
人材業界 | 人の人生に貢献したい |
商社業界 | 日本のプレゼンスを向上させたい |
ここで注意してほしいのは、その企業でなければいけないことを無理に書く必要が無いということ。あくまでご自身の夢や目標であって、無理にその企業の夢を明記する必要はありません。ただ、個人の夢や目標と志望している企業の夢や目標の方向性は合致していなければいけない(ある意味、当たり前のことですが)ので、その業界で実現できるであろうことを明記するようにしましょう。
②その夢を持つことになったきっかけについて
次に記入するのは、①で書いた夢の理由についてになります。ここでは出来る限り具体的な経験が必要なので、過去の実体験を元に明記することが必要でしょう。
例えば、金融業界を例に見ていきましょう。
①夢・目標 | 無くてはならないお金を通じて、企業活動や人の生活を支えたい、その思いで貴社を志望します。 |
---|---|
②その夢を持つことになったきっかけ | 私の父は小さな会社を経営しており、幼い頃に経営に行き詰ったことがあったのですが、何とか金融機関からお金を借りることができたおかげで、廃業することなく現在も順調に経営しています。数年経ったある時に、「あの時にお金を借りることができなければ、お前を大学まで行かせることは出来なかった」と聞いた際に、改めてお金の大切さを実感し、将来は生活の根本であるお金を通じて、会社や人を支えたいと思うようになりました。 |
夢や目標を持ったということは、それに基づく経験が必ずあったはずです。この経験が浅い方は面接官に疑われてしまうので、ぜひ深堀りすることをお勧めします。
③その中でなぜ貴社かについて
この部分では、その企業の特徴や惹かれたポイントを明記しましょう。ただし、注意してほしいのは、「他の就活生と差別化できない」という点。志望動機の文字数は約400文字が主流ですが、その中で③の比重は100文字程度が限界になります。そうなると、非常にありきたりな内容しか書けないのですが、それで全く問題ありません。書面上だけで差別化できるぐらいなら苦労しませんので、ここに無駄な時間を費やさずに、多くの就活生が書くであろう、その企業の特徴を明記しましょう。
さて、書き方は十分に理解出来ましたでしょうか?最後に模範例を下記に記したので、ぜひ参考にして下さいね。
- 志望動機をお願いします(400文字以内)※某大手銀行
- 「お客様の不安・悩みを解決したい」という想いから、貴行を志望します。自身の15年間のバドミントン経験において技術力向上はもちろん、他者に対して手助け・アドバイスをすることで頼られ、感謝されることにやりがいを感じました。また、バドミントンを継続するために「お金」は必要不可欠なものでした。家族は私のために工夫をしながら資金面の協力をし続けてくれました。決して裕福ではありませんでしたが、必要な用具の購入を相談すると、すぐに資金の協力をしてくれました。この経験から「資金面でも人々の課題を解決し、夢を応援することができる」と実感しました。その中でも、他社にないスピード感を重視し、お客様の問題にお応えしている貴社ならば、私の想いが実現できます。今まで経験してきた問題をよりよくするために、どうすればよいのか考え行動できることを活かし、信頼関係を構築していく中でお客様の持つ課題を一緒になって解決したいです。