エントリーシートの書き方(学生時代に頑張ったこと編)
こんにちは!
採用担当の池田です。
今回は今まで以上に実践的内容に踏み込んでいきましょう。ずばり「エントリーシート(ES)」についてです。
エントリーシートは就活の初期で課されることがほとんどですし、書き方で戸惑う方も多いのではないでしょうか。私も夏のインターンシップで初めてエントリーシートに対峙したのですが、そもそも何を書けば良いのか、どのような構成で字数制限に対して何割記入すべきかが全く分からずに本屋に行ったことを鮮明に覚えています。
エントリーシートの内容に驚愕!?
ちなみに余談になりますが、私が当初就活生だった際に、本屋でエントリーシートに関する対策本を読んで、驚きと不安を感じたのを昨日のように覚えています。さてそれはなぜでしょうか?
それは、大企業に内定されている方の「学生時代に頑張ったこと」の内容を見て、「みんな超絶リア充な経験をしてるんじゃん!」と感じたからになります。私が手に取った書籍の中には、
- ダンスサークルのリーダーとして、部員200名をまとめ上げて、1000名以上を動員するイベントの企画運営を実施し、大成功を収める
- ベンチャー企業のインターンとして週3日、1年間働く中で、営業の課題を抽出&改善することで、昨年比売上120%を達成
- 1年間のアメリカ留学で、現地のアメリカ人および留学生を巻き込んで、「日本文化を知るイベント」を開催し、100名以上の集客に成功
等がつらつらと・・・
こんなのを目の当たりにしたら、普通の感覚だと「絶対に大企業無理じゃん。てかそもそもみんなこんなすごい経験してるんかい!俺の大学生活は一体何だったんだ・・・」と絶望すると思いませんか?
もし私と同じような経験を絶賛経験中の方がいれば、ぜひご安心下さい。前回のブログで少しだけ触れたかもしれませんが、【事実】と【本音】は分けて考えなければいけません。例えば上記の内容の中の「アメリカ留学」の経験のリアルを覗くと、下記のようになります。
アメリカ留学は、周りが留学するのを知って、自分もやってみたいという単なる好奇心から決意
↓
留学当初は、英語が全く話せないどころか、話しかける勇気もなく、ほぼ一人で過ごす
↓
何度も日本に帰りたいと思ったが、現地の学校で知り合った日本人と仲良くなり、初めて友人が出来る
↓
友人は非常に活発的な方で、その友人から「日本の文化を知るイベントを一緒に立ち上げてみない?」と半ば強引に誘われ、しぶしぶ参加することに
↓
メンバーには日本人以外の人もいたが、友人の仲介もあって少しずつ話せるようになる
↓
友人の先導のおかげで、自分の担当だった集客も何とか上手くいき、無事にイベントは大成功
話のリアルを見ていくと、「こんな話のレベルなら、俺でも出来そうじゃん」と思いませんか?正直、たまたま活発な日本人と知り合っただけで、当の本人はそこまで活躍していないので誰でも出来そうなことですよね。ただ、嘘を付いているわけではないので、自信を持って企業に提出しても全く問題ありません。
ですのでエントリーシート上に書かれている文字だけを見ていくと、凄そうな経験に見えるかもしれませんが、リアルはこの程度の場合がほとんどです。本当の意味で凄い経験をした人なんてほとんどいませんので、安心してくださいね。
エントリーシートの書き方ステップ
さて本題に戻りますが、実際の書き方について説明していきましょう。今回は最も聞かれる質問の「学生時代に頑張ったこと」について見ていきますね。
では早速ですが、書き方は下記の5段落に分けて書きましょう。
- ① 結論
- ② 状況・背景
- ③ 問題点
- ④ 具体的行動
- ⑤ 結果
それぞれについて説明していきますね。
①結論について
エントリーシートに限らず、面接やGDにおいても、基本的に結論から伝えるようにしましょう。例えば下記のようなエントリーシートの内容だと分かりにくいと思いませんか?
- 学生時代に頑張ったことは何ですか
- 私は小学校から今までの10年間、ずっとサッカーをやってきました。中学校では県の選抜メンバーに選ばれたり、チームのキャプテンとして県大会ベスト4に導くことができました。しかし高校では怪我をしたことで、半年間サッカーができなくなる状況になりました。退部することを考えたのですが、両親やチームメートからの励ましによって何とか立ち直ることができ、復帰後は猛練習をし、チームのレギュラーになることが出来ました。
そして大学時代にはサッカーサークルに入ったのですが、やる気のないメンバーが多く、練習もほとんど真面目に出来ていない状況でした。そこで私はこの状況を変えるために、まずメンバーと議論する場を設け、サークルの在り方について話しました。さらに、規模の大きい大会に申し込むことで、目標を定め、それによってモチベーションを上げようとしました。すると徐々にメンバーの意識が変わり、最終的には真面目に練習する人がかなり増えました。
この経験から、周りを巻き込むことの重要性を学びました。
この内容だと、結局大学時代に何を頑張ったのかが途中まで読まないと分からないですし、小中高の経験がそれぞれ薄いので、その人の中身が分からない内容となっています。もし上記の例において正しい文頭にするのであれば、【サッカーサークルにおいて、メンバーのモチベーション向上に努めたことです】になりますね。
また、人事は時間が無い中で人を判断しなければいけないので、読んですぐに中身が分かる内容でないとすぐに見切りをつけてしまいます。(面接はポジティヴチェックよりネガティヴチェックの要素が強いのも事実です)
そのため、まずは文頭に質問の結論を持ってくるようにしましょう。
②状況・背景について
この部分には、伝えたい内容を補う、または盛り立てる要素を盛り込みましょう。例えば下記のような組み合わせが挙げられます。
伝えたい趣旨 | サークルで全国大会出場 |
---|---|
趣旨を盛り立てる要素 | 今までは全国大会に行けるレベルまたは状況では無かった |
趣旨を盛り立てる具体的表現 |
等 |
自分が最も伝えたい趣旨を伝えるために必要な伏線のような位置づけになりますが、この部分がしっかりしているか否かで読み手に与える印象が大きく変わるので、どんな表現を盛り込むべきは慎重に吟味しましょう。
③問題点について
人の本質が分かるときってどんなときか分かりますか?それは「上手くいかないとき」にその人の本質が出やすいと言われています。人事は出来る限り就活生の本質を見たいと考えているので、それをアピールするためには、「上手くいかなかったこと」をしっかり明記することが重要です。
また少し話を変えて、恋愛ドラマからも上記のことを言えるので見ていきましょう。読者の皆さんは過去に1回ぐらいは恋愛ドラマを見たことがありますよね?その中のストーリー展開として、下記のような事例って見たことがありますか?
主人公の男性は、職場で好きな女性が出来た
自分から声を掛けるのが恥ずかしかったが、勇気を出してデートに誘うとOKを貰う
初めてのデートは緊張したが、何度かデートを重ねるうちにお互いの距離が深まり、交際することに
交際後も順調に愛を育み、1年程度経過したタイミングで、プロポーズをし、OKを貰う
結婚後、幸せな生活を過ごしました
END
このようなドラマがあったら、皆さんは見たいと思いますか?石原さとみさんや上戸彩さんが出演しているのであれば私は1回ぐらいは見るかもしれませんが、間違いなく視聴率は低迷することでしょう。その理由はなぜか。
それは【話が全て上手く進み過ぎていること】が理由になります。普通の恋愛ドラマであれば、
好きな女性が出来たが、相手は既婚者で、このまま付き合うと不倫関係に
交際こそ出来たが、相手の女性が不治の病にかかってしまい余命1年に
結婚は出来たものの、実はギャンブル依存症で結婚生活が上手くいかずに離婚に
など、多くの問題やトラブルが起きるはずですよね。その問題に対してどのように乗り越えるかがドラマの醍醐味だと思うのですが、それらが無いドラマなんてそもそも成立しないことでしょう。
この理論はドラマだけに限らず、就活においても同じです。何も苦労しないサークルやアルバイトの話を聞かされたところで、人事の記憶には一切残りません。(世界1位になった経験やオリンピックに出場した等のスーパーな経験がある場合は別ですが・・・)経験の中でどんな問題が起きたのかをはっきりと伝えるだけで、人事としては「その問題をどのように乗り越えたのか気になるな」と興味付けをすることが出来るのです。
最後に、【一生懸命取り組んだ経験であれば、必ず上手くいかなかった問題が起こったはず】ですので、一度整理してみましょう。
④具体的行動について
5段落構成の中で最も重要な部分はどこかと聞かれたら、迷わず④を答えるぐらい、非常に重要な要素になります。ここのポイントは【できる限り具体的に記入すること】に尽きます。
まず悪い例を見ていきましょう。
問題点 | サークル内の雰囲気が悪く、サークルで辞める人が多くいた |
---|---|
具体的行動 | 雰囲気を良くするために、飲み会を企画した |
結果 | 雰囲気が良くなり、辞める人が減った |
これを見た人事は、果たして納得するでしょうか?残念ながらほとんどの人事は「飲み会を開いたぐらいで雰囲気なんて良くならないでしょ」と思うことが普通です。
ポイントとしては、エントリーシートは文章だけで読み手を納得させる必要があるので、そのためにはできる限り詳しく内容を明記することになります。上述した悪い例を良くした例が下記になります。
問題点 | サークル内の雰囲気が悪く、サークルで辞める人が多くいた |
---|---|
具体的行動 | 雰囲気を良くするために、飲み会を企画した |
結果 | 雰囲気が良くなり、辞める人が減った |
字数制限との闘いになると思いますが、具体的行動部分にはどの部分よりもこだわって記入してみましょう。
⑤結果について
こちらは【客観的評価】を明記することが重要です。例えば上述した例にある「辞める人が減った」では読み手には正直イメージがつきにくいので、「当初は年間10名辞めていたのが、今年は2名に減った」と表現するだけでも、読み手に与える印象は良くなります。具体的な数字が出せるのであればそれを出すに越したことはありませんし、数字が出せなくても、客観的に納得できる表現があれば何でもOKです!
また、就活生に多い表現が、「雰囲気が良くなった」という結果。非常に抽象的ですので、雰囲気が良くなったことが分かる描写を記入する必要があります。例えば、「その結果、雰囲気が良くなり、後輩が積極的に先輩に質問している光景を目にすることが多くなりました」とするだけでも良いでしょう。
まずは実際に手を動かして書いてみよう!
さて、細かく書き方についてお伝えしましたが、理解出来たでしょうか。騙されたと思って上述した構成に当てはめてまずは書いてみましょう。最後に、参考までに模範となる内容を下記に明記しておきますね。
- 学生時代に頑張ったことは何ですか(500文字以内)
- 【ダンスサークルでの学内コンテスト優勝に向けた活動】私は大学で約250人のダンスサークルに所属し、15人のチームリーダーを務め、毎年5月の学内コンテストでの優勝を目指した。しかし2年生の頃、まさかの予選敗退との結果になり、チームが伸び悩んだ。私はリーダーとしてミーティングの開催や練習内容の改善等、様々な取り組みを行ったが効果がなかった。その原因が、代々内部の先輩からのみ教わるサークルの風習にあると感じた。その為「外部ダンサー達から得たものをチームに還元し、成長させよう」と決意した。そこで私は1年で約110の外部イベントに参加し、150人以上との繋がりを作った。その上で週に2回以上、外部チームとの合同練習会開催に成功した。社会人ダンサーからは何度も誘いを断られた。しかし「自分達をより深く知ってもらう事」「相手のメリットも示す事」を意識し、何度も通う事で次第に賛同を得た。結果、メンバーの外部から学ぶ意欲が高まるとともに、ダンスの表現の幅が広がった。それにより、3年時の学内コンテストでは16チーム中で優勝を果たした。この経験から、自分と異なる環境にいる人との信頼関係を築く難しさと重要性を学んだ。