現年収を偽って転職活動することは可能なのか

現年収を偽って転職活動することは可能なのか

こんにちは!
採用担当の池田です。

言葉の持つパワーって非常に重要だなと思いませんか?

例えば
逃げる
という言葉。

一般的にネガティブな言葉なので、
逃げる=良くないこと
という認識がありますよね。

だからこそ、学校や職場で辛い思いをしている方にはその選択を取ることが出来ない。

ただ、例えばですが、
回避する
という言葉に置き換えれば、多少ネガティブイメージを緩和できるような気がします。

ちなみにホリエモンは
ベビーシッター
という言葉がどうしてもネガティブに思われているからこそ日本では受け入れられないと言っておりました。

世話を“させる”みたいな意味合いが強く、主従関係のようなイメージは確かに連想しちゃいますよね。

そこで
育児師
に変えたらどうだと意見を挙げておりましたが、確かにベビーシッターよりもちゃんとした職業のようなイメージを私は持ってしまったので、言葉の持つパワーって重要だなと。

そして就活においても言葉によって損をしていると思うのが、
子会社
という表現。

誰がどう考えても、子会社より親会社の方が良いですよね(笑)

就活時代は親会社と子会社の違いについては全く知りませんでしたが(現在でも詳しく分かっておりません(笑))、わざわざ子会社を選ぶ理由なんてないはず。

やっている事業内容も権限も給与も、全て親会社より低いみたいなイメージを連想してしまいます。

ちなみに、一般的に偏差値の高くない大学のキャリアセンターでは、
大手の子会社に就職すると良いよ
とアドバイスしていることが結構多いです。

親会社に比べると諸々劣ることがあるけど、安定しているし福利厚生も整っているみたいな感じです。

こういう現実もあり、世間のイメージとして子会社という言葉はあまり宜しくないかなと考えています。

ちなみに、弊社がもしどこかの子会社だったら、間違いなく総合的な採用力は落ちると考えています。

もちろん、親会社のネームバリューのおかげで応募数は増えると思いますが、確実に質が下がりますね。

仮にNTTデータの子会社になれば、NTTデータの冠に惹かれて応募する方が圧倒的に増えるので、現在採用できている、

  • 向上心があって、
  • 技術ギークさがあり、
  • 早く成長して、どこでも活躍できる人材になりたい

というハングリー精神を持った方は来なくなることでしょう。

やや逸れましたが、子会社という表現に代わる良い言葉が出てくれば、もう少し就活生側の選択肢も広がるのかなと思っている、今日この頃でした。

さて、今回は年収に関する話をさせて頂きます。

年収はどのように決まるのか

転職を考えている方にとって、重要な項目の1つが、
年収
ですよね。

現職の待遇や評価制度に不満があって転職する方は相当数いる印象です。特にIT業界は昨今人材不足が顕著と言われており、転職という選択をすることで現職より数百万円以上年収がアップすることも珍しくありません。

他業界に比べてもIT業界は転職へのハードルが低いと思いますが、多くの方が気になっている年収がどのような仕組みで決まるかご存知ですか???

結論、
現職年収を考慮して判断する
ことが圧倒的に多いのが現状です。

転職未経験の方は年収が決まる構造を、

  • 候補者のスキルを客観的に測り、
  • そこから予想される成果(売上・利益等)を考慮し、
  • 会社の期待を載せた金額に決定する

と思い込んでいる方が一定数いるようですが、、、

そんなの無理無理無理無理無理。絶対に無理。

以前から伝えておりますが、面接という場において候補者の方を“判断する”ことは不可能です。そんな特殊能力が備わっていれば、面接官という仕事はせず、細木数子ばりの占い師になって荒稼ぎしております。

もちろん、候補者との会話から様々な情報を読み取って会社にマッチした社員か否かを判断するよう努めますが、とは言え限界があります。

近年、プロ人事と名乗る方が、
面接で候補者のことを見抜ける
みたいに豪語している方がおりますが、200%ウソです。あり得ません。

こういうことを平気で伝える人事がいるから、これから面接を受ける新卒・中途の方が面接に対して過度な不安を抱き、面接で伝えたいことや聞きたいことを上手くアウトプット出来ないんですよ。

有名ユーチューバーの方が、
プロ人事を名乗る人に面接をしてもらい、分析してもらったら全然意味不明だった
みたいな動画上げてくれないですかね(笑)

話は逸れましたが、候補者の内面は絶対に見抜けないですし、スキルについても面接という非現実な場における会話だけでは分かるはずありません。

面接であれだけ雄弁で論理的だったにも関わらず、実際のプロジェクトではチンチクリンだったみたいなことはどの会社でも起きていることなので、面接官に対して過度にビビる必要は一切ありませんよ。

だからこそ、多くの企業は自分で年収を判断出来ないから現職の年収を基準に考えようという思考になってしまうんです。

これは人事側の怠慢でしかないので、企業独自の評価軸をしっかり作る必要があるでしょう。

そしてここからが今日のメインテーマ。現職の年収で次の会社の年収が決まるのであれば、
現職の年収を偽ってしまえば良いのではないか
と思う方はおそらくいらっしゃることでしょう。

例えば、現在年収500万で希望年収が600万が事実かつ本音だった場合。

現在年収500万と事実を伝え、希望年収600万と伝えると、面接官の心証として、「100万年収アップ希望か。その根拠はしっかりあるのかな。」と詰め寄る気持ちになってしまう。

現在年収600万と偽り、希望年収600万と伝えると、面接官の心証として、「まぁ現年収と同等程度は普通だよな」と納得する気持ちになってしまう。

現在年収が700万と偽り、希望年収600万と伝えると、面接官の心証として、「年収を下げてでも転職したいということは、やりたいことが明確だったり、入社直後ではすぐに成果出せるわけではないからという謙虚な気持ちを持っているのかな」とポジティブな目で見てしまう。

おそらく日本企業の人事の場合は、概ね上記のような思いを抱きやすいのかなと思っています。
※海外だと現年収より下げた希望年収を伝えることで、自信の無さに繋がってしまうこともあるようです

ただ一般的な感覚からしても、上記3種類は何となくイメージ出来ませんか?

本来年収ってそういうものではないはずなのに、人の心理としては、

  • 希望年収が高いと傲慢
  • 希望年収が低いと謙虚

になってしまうのは、お金に関してしっかりした教育を受けていない日本人の性なのでしょうか。

そしてここからがようやく本題です。

上記のように、

  • 日本企業のほとんどが現年収基準で提示年収を決めていること
  • 現年収より低い年収を希望する方が、面接官の心証として良くなる可能性がある

という前提であれば、、、

現年収を偽ることで、面接官の心証をコントロール出来るのではないか
という仮説が生まれますよね。

さて、これは実際に出来るのでしょうか。

現年収を偽るとどうなるのか

現年収を偽るという絶対にやってはいけないことですが、この記事を書く中で新卒の就活時代に似たような記憶があったのを思い出しました。

それは、
TOEICの点数を偽ること
です。

今ではTOEICの点数って採用時にはあまり意味を成さなくなってきている(対策すれば誰でも高得点を狙えるため)のですが、私の就活時はちょうどTOEICがフォーカスされた時期だったんですよね。

それこそ大手各社が昇格時の条件の1つにTOEIC点数を設けたりした時期だったと思います。

そして少しでも内定確度を高めるために、
TOEICの点数を盛ったらバレるのか
というのを仲間内で半ば冗談で話した記憶があるんです。

公式のスコア表(スコアの証明書)があるものの、わざわざそれを提出させる企業はあまりない印象でしたし、もし自分が企業側だったらいちいち事実を確認するほど暇じゃないと思ったので、バレないと思っていました。

結局、チキンハートの私だったので偽ることはしなかったのですが、おそらく偽ってもバレることは無かったと思います。

あれって、ちゃんと事実確認している企業ってあるんですかね???(笑)

話が少し逸れましたが、TOEICの点数以上の重要な意味を持つ年収を偽ることはそもそも出来るのか否か。

これは企業によりけりだと思いますが、正直なところ、偽ってもバレることは少ないと思います。

バレる企業としては、
選考時に年収が分かるもの(去年の源泉徴収票)を提出させる
フローを用意しているところぐらいかなと。

ただそういう企業ってそんなに多くない印象なんですよねー。実際どうなのかのエビデンスが無いのでこれ以上言及出来ないですが、まさか候補者が嘘なんて付くと思っていないですからね(笑)

とは言え、
転職後に前職の源泉徴収票出さないといけないから、その時にバレるんじゃない?
と思っている方はいることでしょう。

確かに、厳密にはそこでバレる可能性はあります。

しかし、採用に関わった人(人事採用担当や事業部長、または役員が多いと思います)と、源泉徴収票を処理する人は異なることが多いのでそもそもバレない、万が一同じ人が担当だったとしてもそもそも年収の照合をする目的で見ることは無いのでバレない可能性の方が高いでしょう。

よって、私の意見としては年収を偽ってもバレることは少ないと考えています。

じゃあ、みんな年収を偽ったほうが良いでしょ!っという結論に至りたいところですが残念ながらそうはなりません。

ポジショントーク抜きにその理由をお伝えします。

①面接でのウソは最悪解雇に繋がる可能性も

当たり前ですが、ウソはNGです。そして相手を評価する選考の場において、ウソを付くことは合否判断をする上で大きな妨げになる可能性があるので、万が一ウソがばれた場合、解雇になる可能性もあります。

特にNGと言われるのは経歴(年齢や学歴、所属会社や経験社数等)と言われておりますが、年収もそれに匹敵するほど重要な項目なので、バレたらどんな処罰になっても文句は言えません。

客観的基準がないようなウソ(「リーダーシップがある」や「サークルの副リーダー」等)は、バレないというより判断が出来ないので処罰を受けることはあまりないかもしれないので、この辺りは上手く調整してみて下さい。

新卒の採用ではこの辺りの話が横行するからこそ判断が難しいんですよね。。。(笑)

②年収に値する人物か否かで見られるので、不利になる可能性も

年収を偽るときというのは、おそらく現年収を大きく見せたい時がほとんどだと思いますが、本当の年収を伝えていれば内定だったのに、、、ということも珍しくありません。

過去に新卒3年目の方で年収800万を貰っている方を面接したことがあったのですが、明らかに高過ぎると思ったんですよね。

まず所属企業。売上や利益等を会社HPで見る限り、3年目の若手に800万円をバンバン提示するような企業ではないなと。

次に大企業のグループ会社だったこと。親会社の大企業は良く知っている企業だったのですが、正直親会社の社員よりも明らかに年収が高いのが疑わしい。

そして最後は、本人のスキル。面接という形式ではありますが、明らかに知識として知らないことが多過ぎること、またそれをカバーするリーダーシップや行動力があるかと言われれば完全にNO。

結果的に本人が嘘を言っているのか否かは分からなかったのですが、エージェントとも話をする限り、面接を受けたどの企業からも、
この候補者は本当に800万貰っているの?と問い合わせが来るんです。。。
とのことでしたので、まぁちょっと怪しいですよね。

年収が高くなるにつれて、どうしても採用ハードルは上がっていきますので、下手に年収を偽ることで自分の首を絞めることに繋がってしまいます。

③入社後に求められるアウトプットのハードルが上がる

仮に、、、年収を偽って希望通りの年収をゲットし入社出来たとしましょう。
ただ市場価値に比べて高い給与を貰ってしまう状況だとすれば、やはり入社後は苦しくなる可能性がありますよね。

基本的に転職で提示される給与は、
期待値
でしかありません。

そのため、採用した企業側はその期待値に見合った成果を出すかどうかを慎重に見定めます。もちろん大企業の場合は、年齢で給与が決まるところがまだまだ多いのでそこまでシビアに評価されないかもしれませんが、世の中の動きとして徐々にではありますが成果に応じた給与体系に移行しているのも事実です。

入社後に期待値を上回る成果を残せなかった場合は、信用を失い、昇給どころか給与が上がらない、もしくは減給になる可能性もあるわけです。

転職時の年収が600万で1年後550万
転職時の年収が500万で1年後550万
どちらのほうが幸福感が高いかと言われれば明らかですよね。

ただ今の日本企業の場合は、

  • ジョブディスクリプションが明確になっていないために、求められるミッションが曖昧
  • 適切な評価が出来ていない
  • 年功序列で給与が決まることが多い

ので、「求められるアウトプットのハードルが上がる」ことについてはあまり意味を成さないかもしれません。。。

今回はグレーな件について言及しましたが、結局、このようなことが水面下でちらほら起きてしまっている原因として、年収への考え方が間違っていること(年収について意見を伝えることは傲慢で良くないという認識等)や年収交渉の術をしっかり身に付けていないからこそですよね。

日本人の良いところが悪い形で出ている典型例だと思うので、このような姑息な手を使わずに堂々と年収交渉できるエビデンスを用意して、堂々と伝えられる社会になることを期待しています。

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