ようこそ年収2,000万円の世界へ。給与高騰の先に待つ人材競争のあるべき姿とは!?
こんにちは!
採用担当の池田です。
少し前まで世間を賑わせていた吉本興業のゴタゴタも曖昧なまま収束している感じを見ると、人の興味関心って不思議なものだなーっと痛感しています。ただどんなに月日が経とうとも、決して忘れもしない重大事件があった企業を私は今でも気になっております。
そうです、皆さんご存知、Ocean Tokyoです(笑)。
以前のブログでも少し触れましたね。
過去ブログ:美容院業界のトップ「Ocean Tokyo」を見て思うこと
美容室業界のナンバーワンと言われているところですが、何と共同経営者の1人であるトメ吉さんが辞めてしまったんです。
いやー、びっくりです。真相は分からずですが、突然だったので、好きなYouTubeチャンネルで知った時は本当に驚きました。
細かいことを知らないのでOcean Tokyoについて意見することが出来ないのですが、会社を“一緒に”立ち上げた仲間がその後上手くいかない話って結構聞きますよね。
友達と起業してはいけない
一度は聞いたことのある内容だと思いますが、なぜなんでしょうね。
経験者のみぞ知ることだと思いますが、そもそも友達って何なのかを少し考えさせられました。
そして、友達とは何ぞやを知りたいと思った、そこのあなた!
ぜひ下記の本を読んでみると、良いと思います。
Amazonリンク:夏の騎士
内容としては軽いですが、読んだ後の爽快感が心地よく、子供の頃の感覚を思い出すことが出来ます。
そして純粋な意味で友達について考えさせられたので、心が汚れてきたなと思った方にこそお勧めですよ(笑)
さて今回は、皆さん大好きな年収を切り口に、今後の人材競争の行く末を語りたいと思います。
ITエンジニアの市場価値は高い
タイトルの「年収2,000万円」という数字を見て、皆さんは何をイメージしましたか?
おそらく多くの方が外銀や外コン、またはキーエンスではないでしょうか。
ちなみにキーエンスは平均年収が2,000万円を超えるとのことで話題になっていますからね。私が新卒の時は確か1,400万円が平均で、総合商社と同等ぐらいのイメージだったのですが、それを遥かに超えるほど、業績爆速中の企業です。
新卒入社2,3年目で1,000万円を超えるのはさすがにすごいなと。。。
ただ、今回はそれらの企業について述べるつもりはなく、グローバル企業の報酬水準を元に、この先エンジニアの争奪戦がどうなっていくのかを述べたいと思います。
まずデータからですが、いわゆる誰もが知っているテック企業の報酬水準についてお伝えします。
Facebook:24万430ドル
Google:19万7274ドル
Netflix:18万3304ドル
Twitter:16万1860ドル
※参照:「人材争奪」日本経済新聞出版社
ここで注目すべきは、上記の数字はあくまで”中央値”ということ。平均値ではありません。中央値の場合は、平均値のように極端な数値に左右されないので、実体を即したものになりやすいものです。
日本では年収においてキーエンスが圧倒的な王者として持ち上げられることが多いですが、世界を見渡せば、他にもゴロゴロ、というよりそれ以上の会社が多数あるわけです。
もちろん、物価等の生活コストが異なるので、数値だけを見て「アメリカの企業は高くて、日本は低い」みたいな構図を言い切ることはできないですが、まぁそれにしても日本のエンジニアに比べて間違いなく厚遇されているでしょう。
またGoogleが買収したDeepMind社(AlphaGoで有名ですね!)なんて平均年収3500万円貰っているらしく、もはや日本のプロ野球選手の平均とほぼ同じです。
これでは本当に優秀なエンジニアが海外へ流れてしまうのも致し方ありません。
そもそも、企業が高い給料を支払うためにはいくつかの段階があると考えています。
まずは、
①単純に儲かっていること(利益率が高いこと)
が土台。その上で、
②社員の出すバリューが高いこと
そして最後に
③そのバリューに対して適切な評価が出来ていること
だと考えています。
そして、日本企業が弱い部分は圧倒的に③でしょう。社内の評価体系が年功序列になっていることは当然ですが、それ以上にそのバリューを適切に評価できていない。
現在日本の景気は上向きだと思いますが、それ故に各企業の利益もそれなりに出ていますよね。にも関わらずその利益を人材に投資(給与を上げる)しない。それでは優秀な方は嫌気を指して辞めてしまいます。
そもそも、なぜ潤沢な資金がある大手企業は報酬体系にメスを入れないのでしょうか。NECが新卒に1,000万円の年収を提示するとありましたが、バリューを出すか分からない新卒よりも、目に見えてバリューを出している社員に還元する方法を考えるほうが先ではないかと。
正直、新卒でいきなり1,000万円の報酬を得ることを望んでいる人ってそこまで多い印象はなく、それよりも入社後にバリューを出すことで、ドンっと報酬を積まれる方が圧倒的に合理的に思えるんですよね。
- もし1,000万円の報酬を提示した新卒がバリューを出せなかったらどうするんでしょう?
- 2年目以降下げるんでしょうか?
- 下げることでモチベーションが下がるリスクはあります。
- 下げることで転職される可能性があります。
- 転職を考えても元々1,000万円貰ってしまっていることで、その水準に見合う会社がないことに幻滅します。
- また仮にバリューを出せたとしても、2年目以降はしっかり給与は上がっていくのでしょうか?
- 仮に上がったとしても、NECの社員で現在2,000~3,000万円貰っている方ってどれだけいるのでしょうか?
- 新卒時が1,000万円で、2年目に1,012万円(月1万円の昇給)になってしまわないのでしょうか?
給与って不思議なもので、欲の終わりが無いですからね。仮に私が、
年収1億円くれるなら、何でもします!いつまでも付いていきます、社長!
と懇願し、仮に1億円貰っても1年後には
やっぱりもうちょっと欲しいなー。せめて2億円はないとハワイに別荘買えないんだよね。
みたいな感じになるわけです。
そのため新卒で1,000万円を貰うことで、その人における給与相場が1,000万円基準になってしまい、その人の人生を壊すことに繋がりません。
であれば真っ当な方法で給与を上げることが本人の精神衛生上も良いので、バリューを出せば賞与等でドンっと支払えば良いだけです。
私は大企業の経営者経験がないので、それが出来ない理由が色々あるのかもしれないのですが、少なくとも新卒の報酬にメスを入れるのは、順序が違うだろうと思っています。
超優秀な方の人材流出を止める方法は、何よりも報酬体系にメスを入れることだと思っているので、日本の大手企業の中で抜本的に改革を行う企業が現れることを祈るのみです。
ちなみに、そうは言っても中々変わらないのが大企業様の特徴。そのような状況の中でも、どうしても給与を上げたいと思う場合の方法をお伝えしましょう。
給与って不思議なもので、個人のバリューだけで決まるわけではないんです。むしろ個人のバリューは一番最後に判断されることが多いので、
愚直に頑張っていれば、いずれ給与は上がるだろう
と思い込んでいても一生叶わない可能性があります。
まず最初に重要なことが、利益率が高い業界や企業へ入社すること。上記で挙げたキーエンス社もその1社ですが、例えば金融業界は一般的に高いですよね。
新卒においてメガバンクの人気が露骨に下がっているようですが、少なくとも現時点では大したバリューを出していない人でも総合職であれば1,000万円は確実にいくわけです。それだけ利益を出しているという経営努力を誉めることも出来ますが、そもそも金融のビジネスは利益率が高いように出来ているので、仕事の価値観において給与を最優先事項に置き、
仕事はそこそこにしたい、だけど給与はたくさん欲しい
という方は金融狙い目です。。。(笑)
このように舐めたこと言うと金融に勤めている方は怒るかもしれませんが、明らかに1,000万円の年収に見合わない人が大勢いることは公然の事実ではないでしょうか。少なくとも私が1社目に在籍していた金融機関では、1,000万円に値するバリューを出していた1,000万円プレーヤーはほとんどいなかったように思えます。
一方、利益率が低いと言われているのが飲食業界。ただ昨今は日本の料理が海外で人気なこともあり、確かな品質があれば、売り方によっては利益率を高く確保することは出来るかもしれません。
続いて重要なのが職種。給与が高い職種とそうでない職種が存在するのは紛れもない事実で、これは希少価値に依存します。
誤解している方がたまにいるようですが、
きつい仕事=給与が高い
わけではございません。
例えば保育士の給与が低いということはいつも話題に上がっているようですが、保育士の仕事はそれこそ過酷で、どんなに体力に自信がある方でも肉体的にきつく、さらに命を預かる精神的負担も大きいので、ぶっちゃけ多くの職種よりもきつい度ランキングでは上位に入るでしょう。
にも関わらず給与が低いのは、希少価値が低いからに他なりません。要はなりたいと思う方がまだまだ多いから。
もし保育士不足が本格的になれば、間違いなく給与は上がることでしょう。
一方、ITエンジニアの希少性は昨今高まっているので、それに応じて給与も上がっていますよね。
ITエンジニアは専門性があるから給与が高い
という見方も出来ますが、いくら専門性があっても希少性が無ければ給与は低いはず。それが需給バランスによって決まる”給与の市場原理”です。
もっと分かりやすい例で言えば、超高額アルバイトってご存知ですか?裏バイトとも言われたりしますが、要は誰もやりたがらない仕事なのでアルバイト代が異様に高い。
特殊清掃員とか聞いたことありません?(笑)
ここで詳細を伝えるのは止めておきますが、誰もやりたがらないからこそ貰える金額が高くなるのは当たり前のこと。
ちなみに私は学生時代に一つだけ裏バイトをしたことがあります。それは治験。ご存知ですか?
詳細知りたければググって頂ければと思いますが、2泊3日で12万貰えましたからね。あれはお得で、そのおかげで卒業旅行に2回行けました(笑)
話は逸れましたが、最後に求められるのが、ようやく個人のバリューです。
利益率が高い業界や企業に入社
希少価値の高い職種に就いている
が揃ったうえで、バリューを出せれば給与も上がりやすいですが、それが無い状況で頑張っても、根本の部分がネックとなってしまい中々上がらない状況になってしまいます。
どうしても給与を上げたいと思う方は、市場の法則に乗っ取ってキャリア選択を行うと良いでしょう。
企業はその人のバリューを適切に評価する努力をしなければいけない
現状多くの企業が中途社員の給与を決める方法をご存知でしょうか。
給与の市況水準を元に、前職より少し高い金額にする
要は、
- 日本のサラリーマンの平均的な給与を見て
- 前職に貰っていた金額を見て
- その金額に少し色を付ける
という流れです。
この方法が主流な理由としては、単純に楽だからです。考えなくて良いですからね。ただ、これでは超優秀な方は来てくれません。
一方、Netflixは給与の決め方として以下のように方針を出しています。
その人がいくらの追加収益をもたらすのかを判断する。給与に関する市場調査は過去のもので、その人に期待できる追加収益は会社主観で判断すべき。
つまり、
市況の給与データはあくまで過去のもので現在の給与を決める指標にはならない、
現職で貰っていた給与はあくまでその企業の水準やそこで発揮したバリューで評価されたもの、
Netflixでどの程度バリューを出せるのかを自分たちで判断し給与を決める
という意味ですよね。
もちろん、Netflix社で働く知り合いから聞いたわけでは無いので、実際どこまでその給与の妥当性があるかは分かりません。ただその姿勢は素晴らしいなと思いますし、あるべき姿だなとも思います。
こんな偉そうなことを語っていますが、弊社はまだその水準まで行っていないので、今後の課題かもしれませんね。
またさらに、Netflixは本当に欲しい人材を口説くときに、
トップクラスの給与を払うから来い
と伝えるようで、日本の企業ではな出来ないよなーっと関心しちゃっています。
なぜ出来ないかと言えば、
- 給与の差別化をすることで社員の軋轢を生むことを恐れているから
- 解雇出来ないから
だと考えています。
①については日本の教育も原因だと考えていて、みんな一緒が正しい、年齢が高い人が偉い等の考えを植え付けられています。
つまり、同じぐらいの年代の人は大体同じ給与が良く、自分より年下が自分の倍の給料を貰ったら嫌だという考えです。
もちろん報酬の差別化により嫉妬や妬みが生まれるかもしれませんが、優秀な人を辞めさせないためにはトップクラスの人には年齢関係なく給与を提示することが重要でしょう。
冷たい言い方ですが、そのように嫉妬や妬みを抱える方はおおよそローパフォーマーが多いので、どんどん差別化することで不満を煽り、辞めさせる方向に持っていく方が合理的ではないかなと思っています。
また②については、仮にトップクラスだと判断した方がいまいちバリューを出せていなくても、日本の解雇規制が厳しいことで居続けさせなければいけません。
また給与を下げると言っても法律で限度が決まっており、合理的判断の元で給与を下げないと、給与を下げられた社員から訴えられたら企業は間違いなく負けるんです。
その点、アメリカでは、
弊社では合わなかったようだね。ぜひ違う企業で頑張ってくれ
という対応も柔軟に出来るし、解雇自体が稀有なケースではないからこそ次の職場を決める上でも足かせになりにくい。
※日本の場合、「解雇された」となれば、職歴に傷が付くことにになり、間違いなく次の職探しにおいてマイナスに働くことでしょう
このような人材の流動化があるからこそ、報酬についても思い切った決断が出来るので、非常に合理的だなと思います。
少し話が逸れましたが、中途社員の給与を決めるときはもちろん、既存社員の評価を決めるときも、まだまだ日本の企業は上司の主観に影響されることが多いので、この辺りを慎重にかつ大胆に改革することが必要ではないかなと考えています。
特にエンジニアの場合、定量的に判断できない部分も大きいので、企業ごとにそのバリューを図る評価軸をしっかり定め、それを社内に浸透させることが重要ではないでしょうか。
本当のトップクラスは給与では動かない
世界のトップクラスは、数千万から数億の給与を貰っており、かつ常に他社からヘッドハンティングで狙われているので、人材争奪戦は非常に激しいものです。
ただ一定の給与を超えるとそれだけでは動かないようですね。給与以外の何かが必要です。
これは凡人の私にもイメージ出来ることで、仮に年収500万円の方が年収800万のオファーをぶら下げられたら食いついちゃうでしょう。
ただ年収3,000万円の方が数百万上乗せされた年収を提示されても、さほど変わらない印象を受けませんか?
どうしてもこのクラスになると生活に困らない金額を得ている以上、年収競争では限界があるので、何か他の魅力が必要です。
そしてその“何か”で重要と言われていることが、
企業のミッション
になるとのこと。
- その企業はどんな方向に向かっているのか
- どんなビジョンを掲げているのか
- その企業に入ることで達成できる社会課題は何か
等々です。
例えば。
Googleのミッションは、ムーンショット。
Appleのミッションは、宇宙に衝撃を与える。
ホリエモンも言っておりますが、結局お金では幸せは買えないんです。少なくとも日本の場合は年収2,000万円を超えるクラスになっていくと、日々の生活に困ることは少なくなっていくので、仕事を通じて何をしたいのかのミッション共感性が重要になってくるのでしょう。
50歳を超えハイレイヤー層の方が、大幅に給与を下げてスタートアップベンチャーに行くことも珍しくなくなっていますが、おそらくそういうことだと思っています。
今後はIT技術の発達によって生活コストが下がることは目に見えているので、企業や組織、チームに優秀な方を集める最重要方法は、ミッションやビジョンなのかもしれません。